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自民党案の月3万円返済不要の奨学金が愚策すぎる件について

投稿日:2016年10月21日 更新日:

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今日、こんなニュースがありました。

自民党は、返済する必要がない給付型奨学金について、原則として高校時の成績が5段階評定で平均4以上であることを条件に、月3万円を給付する方向で文部科学省と調整を始めた。対象者は7万5千人程度になると見込んでおり、年300億円近くが必要になるとみている。具体的な制度案について、来週にも取りまとめる。

 給付型奨学金については、文科省が住民税の非課税世帯などの大学生らを対象に、一定の成績基準を設けることを検討。2018年度の入学生から導入する考えだが、自民党は前倒しして17年度からを主張している。

これは大学生の奨学金制度についてです。

新たな奨学金制度を作ること自体は教育の発展につながるのでいいことですけど、高校時の成績平均4以上という条件がいまいち。

「何考えてんねん!」

ネット上ではあまりの愚策っぷりに怒ってる人もいるほど。

なんでダメなのかについては順を追って説明していきます。

奨学金制度とは?

そもそも奨学金制度とはなんでしょうか?

奨学金制度とは、経済的な理由、社会的な理由によって教育の機会が得られない人を救済するために生まれた制度です。

最初にできた奨学金制度の歴史は1943年10月にまで遡ります。

戦時中で貧しい時代でしたが、無利息での貸与で苦学生を支援していたといいます。

給付型奨学金とは?

続いて、給付型奨学金についてです。

奨学金というのは、基本的に返済の必要があります。

しかし、この返済の義務をなくしたものが給付型奨学金。

つまり、奨学金を完全にもらえるということです。

元々は高校生が対象として考案された給付型の制度でしたが、結局、対象者は大学生にまで広がっています。

今回の問題点は「高校成績平均4以上」という部分

奨学金について基本的なことを説明してきました。

次は、今回の制度の問題点を説明します。

今回の制度で何が一番問題なのかというと、「高校成績平均4以上」という部分です。

これが何故ダメなのかといえば、高校の評価は学校のレベルによってそれぞれバラツキがあるからです。

優秀な学生がわざとレベルの低い高校に行く

たとえば、そこそこ優秀な学生がレベルの高い高校に進学しようか迷った時、成績評価が4以上が難しそうであれば、ワンランクもツーランクもレベルを落とし、あえて下の高校を狙う可能性が出てきます。

こうなると本来なら自分のレベルに見合った高校へ進学することでもっと学力を伸ばせたかもしれなかったのが、下のレベルに行くようになったことで学力の伸びを妨げてしまうことになります。

高校教師の権力強化で生徒との関係に政治が生まれる

高校の成績は教師が決定するものですが、成績4以上の評価が欲しいために学生が教師に媚を売るようになるかもしれません。

また、教師が威圧的になって生徒に横暴な態度を取る可能性も出てきます。

かくいう私も高校時代、同じ班内の友人が授業中に携帯を鳴らし、このせいで班員全員が赤点を食らい低成績をいただくという理不尽な事件がありました。

極端な話、倫理観が欠如した男性教師が権力を盾に女子生徒に迫る可能性もなきにしもあらずなわけです。

学校側が大学に行く生徒を増やすために好成績を乱発する

今ですらあるようですが、成績4以上の奨学金制度が導入された場合、学校側が生徒に対して好成績を乱発し、大学入試を有利にしようと画策する可能性が出てきます。

高校から大学に進学する生徒が増えれば進学率が上がります。

そうすると、高校のステータスも上がります。

また、教え子の中から進学者を多く出せばその分、教師は評価されます。

もし、給付奨学金制度が導入されれば経済的な事情があった生徒でも大学へ進学しやすくなるため、こうした好成績乱発のリスクがあります。

好成績乱発の何がマズイかというと、きちんと勉強している学生が報われない点と、学力レベルの低下です。

適当にやってもよい成績がもらえるならきちんと勉強している学生は不平感を覚えますし、たいして勉強しなくてもいい成績もらえるんだったら勉強しなくてもいいや、と学力が下がる可能性があります。

モンスターペアレントの増加

また、一方でモンスターペアレントが増加するリスクもあります。

友人がモンスターペアレントに毎晩のようにいちゃもんつけられているのをここ数ヶ月見ていますが、見た目もげっそりして精神状態もひと目をはばからずに奇行に走るなどいろいろとヤバイことになっています。

成績4以上の奨学金が導入されれば、これを狙っている親が成績評価にたいして文句をつけるようになってくるでしょう。

「どうして成績評価が3なのよ!」

「もっと上げなさいよ!」

こういうモンスターが出てくるのは目に見えています。

これにより、ストレスに耐えきれなくなった教員は退職。

将来的には教員不足になるの可能性も考えられます。

解決策として「統一試験」の提案

給付型奨学金の制度自体は素晴らしいのですが、問題は「成績4以上」という点。

高校によって評価の基準が変わるため、この部分があまりにあいまい。

解決策としては、全国統一の選抜試験を行なうこと。

その中の上位何%が受給できるような方法が解決策としてはまだましか。

統一試験の問題点

ただ、この解決策にも問題があります。

それは、低所得層が奨学金の恩恵を受けづらいという点です。

奨学金制度はそもそも、経済的、社会的な面で苦労している学生を支援するための仕組みです。

しかし、全国統一選抜試験の成績を奨学金の条件した場合、それこそ東大に入学できる学力レベルを持った学生がこの受給者の枠を埋めてしまうでしょう。

格差の広がりを助長する可能性

東大生の子を持つ世帯主の年収平均は900万円超え。

これに対し、国税庁によれば2015年の全国平均年収は420万円。

つまり、東大生の親は平均の2倍以上の経済力があるというわけです。

ある研究データでは、親の所得と子供の学力は比例関係にあって、親の所得が多いほど子供の学力も高いという血球結果があります。

そりゃ、お金がある方が塾や教育にお金を回すことができるので当然といえば当然です。

ですが、ここで問題なのは本来、苦学生のための奨学金が元々お金がある学生の元へ流れ、格差の広がりを助長するリスクをはらんでいるという点です。

はらんでるってか、目に見える地雷並のリスクですね。

結論:方向性はいいが具体策はもう少し練る必要アリ

結論としては、新たな給付型奨学金制度を導入するのは大歓迎だけど、具体策についてはもう少し練る必要があります。

統一選抜試験にした場合は奨学金の意義が失われかねません。

かといって成績4以上が対象というのはもってのほかです。

ですが、自民党はこの計画を前倒しして2017年度から始めようとしています。

これはあまりに性急すぎるのではないか?

年300億円使って無駄なことはしないで欲しいところ。

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